公務員の副業はどこまでOK?許可される範囲と違反リスク

公務員として働きながら収入を増やしたいと考えても、副業がどこまで許可される範囲なのか分からず、一歩を踏み出せずにいる方は少なくありません。実は国家公務員法・地方公務員法には副業を制限する条文がありますが、許可を得れば認められる余地も残されています。この記事では法律上の建付けと、違反した場合のリスク、近年の兼業解禁の動きまで2026年7月時点の情報を基に整理します。

あいちゃん
あいちゃん
公務員なんだけど、副業に興味があって…でも法律で禁止されてるイメージがあって、怖くて手が出せないんだよね。
実は「全面禁止」ではなく、許可を得れば認められるケースもあるんです。どこまでが許可の範囲か、順番に見ていきましょう。
dogarse
dogarse

この記事でわかること

  • 国家公務員法・地方公務員法が副業(兼業)をどう制限しているか
  • 許可を得やすい副業と慎重になるべき副業の違い
  • 兼業を後押しする自治体の最新動向と、無許可副業のリスク

公務員の副業はなぜ制限されているのか|国家公務員法・地方公務員法の基本

国家公務員法と地方公務員法の副業に関する条文を対比させた図解イメージ

公務員は「全体の奉仕者」として職務に専念することが求められており、副業に対して民間企業の会社員よりも厳しいルールが設けられています。国家公務員には国家公務員法が、地方公務員には地方公務員法が適用され、それぞれ副業(兼業)を制限する条文が定められています。まずはこの2つの法律がどのような建付けになっているかを、2026年7月時点の条文に基づいて整理します。

国家公務員法第103条「私企業からの隔離」

国家公務員法第103条は、職員が営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ねたり、自ら営利企業を営んだりすることを原則として禁止しています。ただし同条第2項により、人事院規則の定めるところにより所轄庁の長の申出を経て人事院の承認を得た場合は、この限りではないとされています。つまり「絶対禁止」ではなく「承認を得れば可能」という制度設計です。

国家公務員法第104条「他の事業又は事務の関与制限」

第104条は、職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ねたり、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要すると定めています。つまり報酬を伴う活動であれば、営利・非営利を問わず原則として許可が必要になるということです。単発の原稿執筆やセミナー講師なども、報酬が発生する以上はこの規定の対象になり得ます。

国家公務員と地方公務員で副業の許可基準はどう違うのか

国家公務員と地方公務員の副業許可の主体を比較する表のイメージ

地方公務員にも同様の制限があります。地方公務員法第38条は、職員が任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする会社その他の団体の役員等を兼ねたり、自ら営利企業を営んだり、報酬を得ていかなる事業・事務にも従事してはならないと定めています。国家公務員法との大きな違いは、承認・許可を出す主体です。国家公務員は人事院(実務上は所轄庁の長等に権限が委任されているケースが多い)、地方公務員は任命権者(市区町村長や教育委員会など)が窓口になります。なお地方公務員法第38条には、非常勤職員(短時間勤務の職を除く)を対象外とする規定もあります。

■ ここがポイント

国家公務員も地方公務員も「副業は原則許可制」という骨格は共通しています。違うのは許可を出す窓口(国家公務員は人事院・所轄庁、地方公務員は任命権者)だけで、「許可を得ずに始めてよい」という例外があるわけではありません。

副業が許可されやすいケースと慎重に判断すべきケース

不動産賃貸・農業・執筆講演など公務員の副業の代表例を並べたイラスト

実務上、公務員の副業として話題に上がりやすいのが不動産賃貸・農業・執筆や講演などの活動です。ただし、これらも「やって良い副業」があらかじめ決まっているわけではなく、規模や頻度によって許可の要否・可否が変わる点に注意が必要です。

不動産賃貸(アパート・マンション経営)

相続などで不動産を引き継ぎ、家賃収入を得ているという公務員は珍しくありません。小規模な賃貸であれば財産の管理の範囲として扱われやすい一方、保有する棟数や部屋数、年間の家賃収入額が一定規模を超えると「自ら営利企業を営む」行為とみなされ、国家公務員法第103条・地方公務員法第38条に基づく承認や許可の対象になり得ます。規模の具体的な線引きは人事院規則14-8や各自治体の運用基準で細かく定められているため、正確な基準は所属先の人事担当や服務規程で必ず確認してください。

農業

実家の農地を維持する程度の小規模な兼業農家であれば、営利企業を営む行為とはみなされにくいとされています。ただし法人化して事業規模を拡大する場合は話が変わってくるため、規模を広げる前に所属先へ相談するのが安全です。

執筆・講演・監修などの報酬を伴う活動

単発の原稿執筆料や講演料、監修料なども、報酬を得る以上は国家公務員法第104条や地方公務員法第38条の「報酬を得て行う事業・事務」に該当し得ます。1回限りの謝礼だから大丈夫、と自己判断せず、事前に所属先へ確認する姿勢が欠かせません。

副業を後押しする自治体の動きも広がっている

地方自治体が公務員の兼業を後押しする制度を紹介するイメージ

近年は、地方公務員法第38条の枠組みの中で「許可の基準を明確にする」ことで、職員が副業(兼業)に踏み出しやすくする自治体も出てきています。副業を全面的に解禁する制度ではなく、あくまで許可を出しやすくするための運用基準の整備という位置づけです。

兵庫県神戸市(2017年4月〜)

神戸市は2017年4月から、NPO活動など公共性の高い組織での副業を職員に認める「地域貢献応援制度」を導入しました。全国で初めて職員の職務外での報酬受け取りを明確に認める取り組みとされています。

奈良県生駒市(2017年8月〜)

奈良県生駒市も2017年8月1日から、職員が職務外に報酬を得て地域活動に従事する際の許可基準を定めた運用を開始しました。2025年4月にも運用基準が改正されており、2026年7月時点でも継続して運用されています。対象はあくまで公共性のある地域貢献活動に限られ、営利目的の副業を無制限に認めるものではない点には注意してください。

無許可で副業をした場合のリスクと、正しい許可の取り方

無許可の副業を行った場合の懲戒処分のリスクを警告するイメージ

国家公務員法第82条・地方公務員法第29条は、法律に違反した場合や職務上の義務に違反した場合に懲戒処分を行うことができると定めており、無許可の副業は戒告・減給・停職・免職といった懲戒処分の対象になり得ます

副業に関する許可を得ずに営利企業を営んだり、報酬を得て事業・事務に従事したりすることは、この違反に該当し得ます。「バレなければ大丈夫」ではなく、そもそも許可を得ていない時点でリスクを抱えている状態だと理解しておく必要があります。逆に言えば、人事院や任命権者の許可を得れば、公務員でも副業は可能ということでもあります。

⚠ 注意

副業の許可基準や届出の要否は、所属する省庁・自治体・所属先の内規によって細部が異なります。この記事で紹介した内容は一般的な制度の枠組みであり、実際に副業を始める前には必ず所属先の人事担当・服務担当に相談し、必要な許可申請を行ってください。

許可を得るための基本的な進め方は、次のとおりです。

1

所属先の服務規程・人事担当に、副業の内容(不動産賃貸・執筆・講演など具体的な活動)を相談する。

2

所定の様式で許可申請を行う(国家公務員は人事院規則14-8に基づく承認、地方公務員は任命権者への許可申請)。

3

許可が下りてから活動を開始し、収入や活動状況に変化があれば都度、所属先へ報告・相談する。

許可を得て副業を始めた後は、収入に応じて確定申告が必要になる場合もあります。基本的な流れは在宅副業の始め方と確定申告でも解説していますので、あわせて参考にしてください。

まとめ

公務員の副業に関する記事全体のまとめをイメージした図解

公務員の副業は、法律上「全面禁止」ではなく、国家公務員は人事院・所轄庁の承認、地方公務員は任命権者の許可を得れば認められる余地があります。ただし不動産賃貸や執筆・講演など一見ハードルが低そうな活動でも、規模や頻度によっては許可や届出が必要になるため、自己判断は禁物です。無許可の副業は懲戒処分の対象になり得るため、始める前に必ず所属先へ確認し、正式な許可を得たうえで一歩を踏み出しましょう。

この記事のまとめ

  • 国家公務員法103条・104条、地方公務員法38条により、公務員の副業は原則「許可制」
  • 不動産賃貸・農業・執筆講演などは、規模や頻度次第で許可が必要になる
  • 無許可の副業は懲戒処分の対象になり得るため、必ず事前に所属先へ相談・許可申請を

よくある質問

公務員は副業を一切してはいけないのですか?

一律に禁止されているわけではありません。国家公務員法103条・104条、地方公務員法38条により、公務員の副業(兼業)は原則として「許可制」とされており、許可を得れば認められる余地があります。ただし判断は個別の事情によるため、自己判断せず所属先に確認することが前提になります。

不動産賃貸や講演の謝礼も副業にあたりますか?

不動産賃貸・農業・執筆講演などは、規模や頻度によって許可が必要になる場合があります。小規模であれば問題にならないケースもありますが、線引きは所属先の内規や個別判断によるため、始める前に必ず担当部署へ相談することをおすすめします。

無許可で副業をするとどうなりますか?

無許可の副業は懲戒処分の対象になり得ます。近年は兼業を後押しする自治体の動きも広がっていますが、制度の有無や条件は自治体ごとに異なるため、最新の運用は必ず所属先の規定や担当部署で確認してください。

執筆者:dogarse(FXトレード歴8年・家計簿歴8年)
資金管理の失敗から立て直した実体験をもとに、投資と家計管理を実践目線で書いています。
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